【ゴエティアクロス】 第1部 1章 魔導師 1部1章1節 シナリオ(文章のみ) ※ネタバレ注意
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深淵の森
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荊<いばら>に囲まれ陽の光が入らない昏い森。
荊の成長が異常に早く、景観を数時間で変えてしまう。
一度足を踏み入れると出るのは困難を極める。
ガラガラガラ……
あなたを乗せた馬車は荒っぽい音を立てながら進む。
車輪が軋むたびに、
中にいる魔導師たちに緊張が走る。
あなたは、無意識に左手にはめた指輪を触る。
気持ちが落ち着かない時に、父の形見の指輪を
触ることがあなたの癖だった。
しばらく指輪を触っていると、
隣に座っているクロウが声をかけてきた。
クロウ:もうすぐ深淵の森です。
夢由【ゆめ】、
もう体の具合はいいので
クロウ
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あなたが所属するポラリス隊の隊長。
階級は中級魔導師。
同じ師を持っ気の知れた友人でもある。
戦況を冷静に判断することができる切れ者。
クロウ:あな方が瀕死の状態で
運びこまれたと聞いたときは驚きましたよ。
クロウ:今日が復帰戦ですね、大丈夫ですか?
あなたは肩をすくめた。
長らく眠り続けていたせいか記憶が
曖昧になっている。
戦闘や魔神の召喚には
いささか不安を感じていた。
クロウ:任務の内容は覚えていますか?
あなたはクロウの問いに答える。
クロウ:そうです。今回の私たちポラリス隊の役目は
深淵の森の迷い込んだアルタイル隊の捜索。
クロウ:深淵の森はこれまでも何人もの魔導師が
遭難しています。
クロウ:深淵の森は景色が変わりやすいですからね。
捜索に来ている私たちまで迷わないように
気を付けましょう。
クロウ:さて、そろそろ馬車を降りましょうか。
クロウ:では今から深淵の森に入ります。
夢由【ゆめ】、 戦闘準備は出来ていますか?
あなたがクロウの問いに応えようとした次の瞬間、
腰のホルダーに入っている魔導書が淡く光り出した。
エル:クロウ、あなたの言われなくとも
私がついているのです。
準備にぬかりはありません。
あなたの魔導書から、少女が現れ
語りかけてくる。
エル:ご安心を、夢由(ゆめ】様。
このエルお任せください。
エル
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魔導書ラジエルの書に宿っている少女。
高位魔導師になると
自身が契約した魔導書が実体化し
契約者に助言をしたり
危険を知らせたりしてくれる。
少女はあなたが契約を結んだ魔導書。
ラジエルの書の実体とも呼べる存在―――
―――エル。
クロウ:そうですか。
流石ですね、エル。
エル:私は夢由【ゆめ】様を
偉大な魔導師とするために
存在する者―――当然のことです。
主様。魔導師は、自らの魔導書に
縁を繋しだ人外の魂を記述し繋ぎとめることで、魔神として使役します。
その魔神を采配する能力が高い者が偉大な魔導師となるのです。
エル:まだ思い出せないことでもあるでしょうが、
エルが主様を導きますので、
安心してくださいね。
エル:さあ、夢由(ゆめ】様。
もうすぐ戦闘になります。
エル:我が魔導書から魔神の召喚をお願い致します。
召喚に必要な供物は
すでに揃えておりますので。
サクス:サクスと申します、夢由【ゆめ】様。
貴方を主と認め、
その命に従し望みを果たしましょう。
エル:流石は主様。
この状況に最適な魔神を召喚することが
できたようですね。
エル:私―――ラジエルの書には、
歴代の魔導師たちが使役した魔神の
ありとあらゆる情報が記憶されています。
エル:もちろん、夢由【ゆめ】様が
新去の契約し、使役する魔神を
増やしていくことも可能ですよ。
エル:しかし、私の記載された魔神たちが、召喚に
応えてくれるかは、ラジエルの書を持つ者の
器量と、契約の内容によって異なります。
エル:器量に関して、主様は問題ありませんが
魔神の中には簡単には服従しない者もいます。
くれぐれもご注意ください。
エル:どうでしょう、少し思い出してきましたか?
エルが今後もサポート致しますので
ご安心ください。
クロウ:……!!
――突如、森中に響き渡る悲鳴。
声は部隊の後方から聞こえた。
あなたに続き、クロウとエルも振り向く。
何かの影が蠢いている。
その影には見覚えがあった。
エル:天魔です!
夢由【ゆめ】様!
クロウ:まだ森の入り口だというのに!
夢由【ゆめ】、行きますよ!
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